コンピューターソフトウェア著作権協会(ACCS)

見解/資料より抜粋


c557 不要なソフトを転売したい。

質問内容
建設関係の仕事をしています。私の勤務する会社では、これまで3種類のCADソフトウェアを使用しておりましたが、業界内でCADソフトウェアの統一が進んだため、そのうちの1つ(3本保有)が不要になりました。
高額なCADソフトウェアであったため、転売しようと思ったのですが「利用許諾契約」には「転売禁止」と記載されています。
この場合、まったく使用する予定のないソフトでも、転売することはできないのでしょうか。
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ACCSからの回答
著作権者には、著作物の原作品や複製物を公衆に譲渡する権利(著作権法28条の2)があります。この譲渡権は、公衆に対し、いったん適法に譲渡された以後は、譲渡の権利が消尽する、いわゆるファースト・セールの法理が適用されます。使用許諾契約において、この規定に反して「転売禁止」条項を設定すれば、法律で譲渡権を定めた意味を失うことになりますので、訴訟の場で争えば、契約の禁止条項は無効になると思われます。
この譲渡権は、WIPO著作権条約とWIPO実演・レコード条約に盛り込まれています。権利の消尽については、条約の加盟国が自由にその条件を定めることができるとしています。わが国は、自由貿易を護る立場から国内だけでなく、国際的にも消尽すると定め、平成12年1月1日に施行されました。
著作権法は、条約によって原則不遡及です。したがって、そのCADを平成11年12月末日までに購入したものであれば、譲渡権の対象外ですから権利の消尽はなく、契約通り転売できないことになりますが、それ以降に購入したものであれば、転売自由となります。
また、そのCADが購入ではなく、貸与による利用であれば、譲渡権と違って消尽がありませんから、これも転売できないことになります。
(c557、2004年11月)


c723 ネットオークションでソフトを購入した場合。

質問内容
ネットオークションでパソコンソフトを購入しようと思っています。私が目をつけているのは、一度開封したオリジナルパソコンソフト(コピー品ではなく正規品と思われるもの)です。
Q&Aを読んで、ネットオークション等で正規品を販売することは、バックアップをとっていなければ違法にならないことがわかりましたが、もし、出品者がバックアップをとっていた場合、購入したものも違法性を問われるのでしょうか。
また、このことは、使用目的が個人での使用でも、業務(会社)での使用でも同じなのでしょうか。
また、パソコン購入時にそのパソコン専用についているOEM版についてはどうなのでしょうか。

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ACCSからの回答
ソフトのオークション出品者が、バックアップを自宅で使用しているかどうかは、確かめようがありません。したがって、購入者の違法性を問うことはできません。ただし、オリジナルを譲渡したあと、バックアップを所持していた本人は、「プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等」(著作権法47条の2の2項)による「複製物の目的外使用等」(同49条1項4号)に該当します。これは、懲役5年以下か500万円以下の罰金(その併科も)です。
個人がオリジナルの中古品を購入して使用するのは、差し支えありませんが、使用目的が会社業務というのは理解できません。職場のソフトは、使用する従業員分を一括して購入するのが通常です。一括購入が安上がりですし、職場でソフトウェア管理すれば、不正なソフトが入り込む余地が少なくなります。
アプリケーションソフトで、使用するのは一人だけというのであれば、間違いなく真正品であると確認できたものに限ることです。侵害行為で作成されたプログラムと知って、これを業務に使用すれば、「侵害とみなす行為」(113条2項)に該当し、差し止め請求や損害賠償請求のほか、罰則の対象にもなります。
OEMで供給されるソフトは、メーカーと販売会社間の契約の問題であり、使用者には直接関係がありません。これも購入して使用することができます。
なお、ソフトウェア管理の規程や管理台帳フォームなどのモデルは、ACCS(http://www2.accsjp.or.jp/)で用意しています。お問い合わせください。冊子を無料で贈呈します。
(c723、2006年8月)